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訃報-宇野誠一郎さん [芝居]

作曲家の宇野誠一郎さんの訃報を新聞で知った。

私にとって、宇野さんは不思議な作曲家だ。この方はクラシック界の作曲家ではないようだし、流行曲作曲家でもない。一番最初に聴いた宇野さんの音楽は、恐らく「ひょっこりひょうたん島」だと思う。そして「ムーミン」。カルピス劇場ではその後の「アンデルセン物語」に「山ねずみロッキーチャック」までを担当。故・井上ひさしさんが関わった作品の付随音楽(とでも言おうか?)が多いのはこのころからのつきあいに遡るのだろう。

アニメついででいくと、「一休さん」が宇野作品だと新聞に紹介されていた。強烈なのは火曜日のサザエさんの「ウンミーのうた」だろう。なんであんな曲になったのか?でも、名曲だと思う。

これだけの長いキャリアをもつ作曲家なのに、NHK大河ドラマの作曲は一本もやっていない。クラシック系でないのでお呼びがかからなかったのだろうか?でも、他のドラマのOPでは宇野さんのお名前はよく見かけた気がする。NHKドラマ人間模様の傑作「國語元年」の音楽は宇野さんだった。そしてあのドラマは井上ひさしさんのテレビ用の(最後の)書き下ろしだったという。

劇団こまつ座での井上作品の舞台音楽は大抵が宇野さんだった。肩肘をはらない、軽妙な音楽が多かったが、いつも楽しいミュージカル仕立ての歌に仕上がっていた(ストーリー自体は非常に重たいテーマだったりするのだが・・・)。要はお客さんを楽しませる名人だったのだろう。

宇野さん、長い間、素敵な音楽で楽しませていただき、ありがとうございました。

 

最後に、劇団こまつ座で私が観た中で一番お気に入りの作品「兄おとうと」の配役を紹介しておきたい。あらすじは、以前書いた井上ひさしさんのところに紹介してあるはずなので、今回は省略。

 

平成18年1月25日(水)、紀伊國屋ホール

こまつ座・第79回公演「兄おとうと」

作:井上ひさし

演出:鵜山仁

音楽:宇野誠一郎

配役:

吉野作造:辻萬長

玉乃:剣幸

吉野信次:大鷹明良

君代:神野三鈴

青木存義(文部官僚で小学唱歌集を編纂)、山田巡査、美和作太郎(偽帝大生の右翼団体青年幹部)、松本大吉(説教強盗)、石川太吉(オモチャ工場社長):小嶋尚樹

大川勝江(吉野家女中)、高梨千代(魚加工場の社員)、袁美琴(袁世凱の娘)、松本幸子(説教強盗)、お春(サロン春の女将):宮地雅子

ピアニスト:朴勝哲

 

東京帝大の吉野研究室で袁世凱の娘・美琴と作造の妻・玉乃が歌う「夢の街 天津」という歌がとても良かった。また聴きたいと思う。

「川に沿う屋根の波 水の都のテンシン 住むひともおだやかで いつも笑顔のテンシン 八月の川遊びは たのしいなテンシン お空にお月さまが かかるまであそぶよテンシン そうよ あの街 夢の街 たびに出るたび 思い出す あの水しぶき・・・(以下略)」

最後は刃物を振りかざす右翼青年も一緒になって歌う、抱腹絶倒の美しい歌だった。


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劇団文化座「故郷」 [芝居]

反原発をテーマにした小説や舞台作品がどのくらいあるのかは知らないが、今回の大惨事で、私は劇団文化座公演の「故郷(こきょう)」という舞台を思い出した。原作は水上勉で、福井新聞や京都新聞に連載されていた新聞小説だったものらしい。単行本化もされていて、その宣伝用パンフのあらすじは次のようになっている。

「故郷はいまも安息の地ですか。日本人の精神史を問う。-NYで日本料理店の支店次長をつとめる芦田は、法事のため、30年ぶりに妻と帰郷する。老いを迎えた夫婦の胸の内には、老後を故郷の若狭で暮らしたいという願いがあった。だが、村は外国人の嫁を受け入れざるをえないほど過疎化が進み、岬には原発が立ち並び、自然の面影も薄らいでいた・・・。」

劇団文化座といえば、鈴木光枝と佐々木愛。この2人が実の親子役で共演するという豪華な配役であった。また、俳優座からゲスト出演の浜田寅彦が偏屈な老人役を演じ、勘当した娘の子(キャシー)との物語が同時進行していく。

公演パンフより、この舞台のあらすじを紹介したい。

「1985年秋、原発に程近い若狭の寒村・冬の浦。突如アメリカからやってきた若い娘キャシーの出現で村は俄に活況を呈する。キャシーの母・松宮はつ江は渡米して結婚しキャシーを産んだが、やがて離婚。娘を残して行方知れずになっていた。その母に会いたくて彼女は母の故郷をたずねてきたのだ。母との再会を待つ間、キャシーは村人ともすぐに打ち解けたが、はつ江の父でキャシーの祖父・清作との出会いは村人を驚かせた。偏屈で通っている清作ははつ江を勘当同然にしていながらキャシーにはすぐに心を開いたのだった。やがてはつ江の居所もわかって・・・。そんなキャシーと日本行きの飛行機に乗り合わせた芦田孝二・富美子夫妻は遠く離れたアメリカで出会い結婚。仕事も順調で平穏な毎日を送っていたが、人生の折り返し地点にきて望郷の念止みがたく、老後は古き良き姿が残る孝二の故郷丹後で暮らしたいと考えていた・・・。 」

舞台は北陸地方の設定で、これは水上氏の故郷に近いことからの設定と思われるが、日本のどこにでもある地方の風景であった。その村は過疎化が進み、原子力発電所を誘致しなければ成り立たないという厳しい事情があった。印象的だったのは、原子力発電所からの送電線をつないでいくために、山の上に鉄塔が立てられているのだが、清作によれば、あの鉄塔の場所はどうやって決定したかというと、空からヘリコプターで目印を落とし、落ちた場所に鉄塔を立てていったのだという。鉄塔を立てた場所の地主には多額の地代使用料が入るわけで、地主同士が争いにならないように公平な手段としてそのようなやり方が採用されているのだという・・・。日本の原風景ともいえるような美しい田舎の山村が、実は、生きていく手段がなく、過疎に苦しんでいる。原発はこわい。しかし、原発でも何でも、しがみついていかなければどうにもならない・・・。そうした住民たちの葛藤がよく描かれていた舞台だった。圧巻だったのはエンディングで、清作の弔いの場面。大勢の村人が柩を担いで行列するのだが、天に上っていくような美しく幻想的な雰囲気であった。

 

最後に、同じく当日のパンフレットから水上氏のコメントを紹介したい。

「『衰滅』とか『沈没』とかいって国の経済成長が行きづまった様子を説明するのに不用意な発言をする人が多い。得意気にTVなどでしゃべるのをきいていると、腹が立つ。『沈没』する船にのっていないと、暮らせぬ人はいるものである。そういう人は明日を信じて生きている。」

 

平成12年2月4日、神奈川県民ホール

劇団文化座公演「故郷」

原作:水上勉

脚本:八木柊一郎

演出:鈴木完一郎

配役:

芦田富美子:佐々木愛

芦田孝二:青木和宣

工藤くめ:鈴木光枝

蓉子:有賀ひろみ

京子:浅野文代

勘一郎:佐藤哲也

愛子:五十嵐雅子

松宮清作:浜田寅彦(俳優座)

松宮はつ江:野村須磨子

松宮淳二:津田二朗

キャシー・マクレイン:コリーン・ランキ(Kee Company)

ホキ:高村尚枝

玄堂和尚:大野紀志夫

静枝:阿部敦子

万田源之助:阿部勉

万田たつ:小林真喜子

久七:田村錦人

孝次郎:米山実

JALの客・中年:徳山富雄

JALの客・若者:小野豊

JALの客・夫:名古屋俊之

JALの客・妻:前田海帆

スチュワーデス1:河野亜希子

スチュワーデス2:小谷佳加

葬列の人々:棚瀬拓歩、森本臣泰

ミスター・クレッチ:鳴海宏明

機内アナウンス:あまがいさわこ(檸檬座シアター)


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劇団民藝「アンネの日記」 [芝居]

「アンネの日記」はとても有名なので、今さら紹介するまでもないのかもしれないが、この舞台は劇団民藝の財産的な作品となっている。私が観たのは中学生の時だったと思う。地元の市民劇場での公演だったと記憶している。

舞台は第二次大戦下のオランダ。ナチスによる迫害から逃れ、隠れ家の屋根裏に潜んでいるユダヤ人家族。当初13歳だったアンネは2年余りをそこで過ごし、その壮絶な様子が彼女が残した日記帳から明らかにされる。

 

1980年5月24日(土)、津山文化センター大ホール

18時15分開演、21時10分終演

劇団民藝「アンネの日記」

原作:アンネ・フランク

訳:菅原卓

演出:滝沢修

装置:内田喜三男

配役

オットー・フランク:水谷貞雄

エーディット・フランク:斎藤美和/入江杏子

マルゴット・フランク:白石珠江/観世葉子

アンネ・フランク:成田美佐子/片桐千里

ファン・ダーン:里居正美/石森武雄

ファン・ダーン夫人:黒田郷子/二村民子

ペーター・ファンダーン:矢野勇生/東秀治

デュッセル:稲垣隆史/杉本孝次

クラーレル:小杉勇二/岡橋和彦

ミープ・ギース:久保まづるか/武内悦子

 

当時の公演は8回目の「アンネの日記」だった。滝沢修さんのこだわりの演出は毎回工夫が加えられているそうだ。太陽と隔絶された倉庫の一室が舞台で、外の様子が様々な音で聞こえてくる。恐ろしい緊迫感が場内を包んでいく・・・。

当日の配役は一部不明のため、ダブルキャスト表示している。アンネ役は2人とも新人が担当(いずれも現在は劇団を退団しているようだ)。この日は片桐千里さんだった。父親役の水谷貞雄さんは役になりきって頭のてっぺんかを青々とそり落としていたらしい(カツラではなかった)。その他では入江杏子さん、石森武雄さん、黒田郷子さん、杉本孝次さんが出演していた。

恐らく、この日の舞台が、私にとっての民藝初体験であったと思う。


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劇団燐光群「3分間の女の一生」 [芝居]

久しぶりの更新となってしまった。劇団燐光群の芝居の続き。予定では岡山市民文化ホールでの「ワールド・トレード・センター」の順番だったが、どういうわけか当日のパンフレットが見当たらない。あのパンフレットは終演後、坂手洋二さんにサインをしてもらった宝物だけに、どこかにしまってあるはずだ。見つかり次第、感想をアップすることにして、今回は先日行われた「3分間の女の一生」を紹介したい。

主演は竹下景子さん。「黒点島-チェックポイント」以来の出演ということだ。「3分間」という時間についての絶対感覚ともいうべき能力をもった女性の人生が、バラバラの短いストーリーの積み上げで描かれていく。日清食品のカップヌードルの発売の場面ではお湯を注いでぴったり3分の時間を言い当てたりと、3分間にまつわる様々な場面でその特殊な能力が発揮されていく。一見、脈絡のない個々のストーリーは最後になって、全部がつながっていることが明らかとなる。

難解な作品が多い坂手氏だが、今回の作品は笑える要素が多分に含まれており、初めて坂手作品を観るという人にもある程度楽しめるように思えた。演出では演劇的な面白さにとことんこだわりをみせる坂手氏。舞台装置は簡易なものであるのだが、役者が各自椅子をもって登場したり、多数の鉄格子のようなものを並べたり、片づけたり、舞台の様子が次々に変わっていく。

面白かったのはジェットコースターの場面。10人程度の客と一緒に乗っているという設定で、役者は列に並んだ椅子に座っているのだが、効果音とともにまるで本当にジェットコースターに乗っているかのようなスリル満点の演技だった。客演の小山萌子さんなどは長い髪が本当に風になびいているように見えた。

客演の円城寺あやさんは存在感のある渋くカッコいい役だった。燐光群の看板女優である中山マリさんに感じがソックリで、同じような女優さんが2人いて可笑しかった。

その他はお馴染みのメンバー。「黒点島-チェックポイント」以来の燐光群となった(当ブログでお馴染みの)K先輩は、「黒点島」の時と出演者がソックリだと言っていた。K先輩お気に入りの鴨川てんしさんもイイ味を出していた。

 

平成22年12月17日(金)、岡山市民文化ホール、19時開演

劇団燐光群「3分間の女の一生」

作・演出:坂手洋二

配役:

女、軍司令部の女1、作業員4、女の人形(声):竹下景子

カオル、軍司令部の女3、3分間くん(声):円城寺あや

婦人、参加者、軍司令部の女2、タチバナ、タナカ、繁華街の通行人、クッキング教室の講師、ゲーム作家、海の女1、看守:中山マリ

マツダ社員、司会者、クニオ、ミヤギ、殺す人:猪熊恒和

別なおじさん、参加者、繁華街の男4、カオルの父親・母親、おじさん、初老の男、影の裁判長:鴨川てんし

おじさん、参加者、軍司令部の男3、繁華街の通行人、教頭先生、裁判官、医師、教誨師:川中健次郎

取材者、遊園地の係員、軍司令部の男1、作業員6、3分間くん(声):大西孝洋

男の子、参加者、軍司令部の男4、男、主任、繁華街の通行人、ハンバーガー屋の客、ジョーの幻影、ガス会社の従業員、シャルルの幻影、3分間マン:さとうこうじ

会社員、参加者、作業員2、ムラカミ、繁華街の男2、若者、コヤマ、放送、ダイバー、ムラカミの影:杉山英之

ジュン、女4、作業員1、繁華街の通行人、駅員、留守番電話、ジュンの影:小山萌子

主婦、参加者、女、ヤスコ、繁華街の通行人、殺される人、主婦、ヤスコの影:松岡洋子

若者、参加者、ミドリ、養母、繁華街の通行人、目撃者2、海の女4、影:樋尾麻衣子

別の子ども1、参加者、娘、繁華街の通行人、少女時代のカオル、マダム、海の女8:笹野鈴々音

少女、アシスタント、作業員3、ミナト、繁華街の通行人、教会の人、女の人形(操り):長尾純子

別な少女1、アシスタント、繁華街の通行人、見知らぬ少女、女子大生、キョウコ、海の女6:安仁屋美峰

若者3の友人、参加者、乗客、作業員5、繁華街の男1、柔道選手、ダイバー、審判:西川大輔

受験生、参加者、繁華街の通行人、青年、ダム従業者、ダイバー、サポーター:武山尚史

若者2、参加者、乗客、軍司令部の男2、繁華街の通行人、レポーター、3分間くん(操り)、ダイバー、アナウンサー:鈴木陽介

若者3、ハシモト、乗客、繁華街の男3、目撃者1、女の人形(操り)、ヤマモト、ダイバー、解説者:橋本浩明

主婦仲間2、参加者、乗客、アイコ、繁華街の通行人、見知らぬ女、アナウンサー、女の人形(操り)、海の女7:高木充子

若者1、参加者、乗客、繁華街の通行人、見知らぬ主婦、看護婦、看護婦、海の女2、看護婦:渡辺文香

主婦仲間1、参加者、繁華街の通行人:桐畑理佳

若者1の友人、参加者、サナエ、助手、繁華街の通行人、その人、3分間くん(操り)、海の女3:矢部久美子

別な少女2、アシスタント、乗客、繁華街の通行人、若い女、海の女5:横山展子

別の子ども2、参加者、繁華街の通行人、若い女、ハンバーガー屋の店員:根兵さやか

 

平日だったので仕事が片づくかどうか分からなかったので当日券で行こうと決めていた。坂手氏の同級生だったY先輩は所用で行けず、K先輩と2人で行くことになった。先に仕事を終えたK先輩に頼んでチケットをお願いしたところ、当日券は完売直前だったそうだ。この日は坂手さんの出身高校の同窓会の方が多数観にきていて、一緒に来たのか小学生の姿も目立った。しかし、休憩なしの2時間20分は結構キツイ。

坂手氏はこの作品を通じて、一体、何が言いたかったのだろう?終盤で辺野古基地の場面が登場し、反戦的な内容となるところがあったが、前半の不思議な世界が、反戦的なメッセージの伏線であるとは思えない。楽しめたことは確かだが、坂手作品はやっぱり難解というのが率直な感想だった。


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劇団燐光群「チェックポイント黒点島」 [芝居]

岡山県出身の劇作家・坂手洋二さん率いる劇団燐光群の岡山公演「3分間の女の一生」の予告を掲げたものの、その前に、私が観た同劇団の2つの芝居を先に紹介しておきたい。

同劇団の芝居を初めて観たのはイプセン作「民衆の敵」(演出:坂手洋二)であったが、この舞台は元々の原作の良さもあり、また、坂手氏の演出に光るものがあり、次もまた観てみたいと思わせる非常に面白い舞台となった。次なる舞台は坂手洋二作・演出「チェックポイント黒点島」で、主演は竹下景子さんだという。さらに、「民衆の敵」では体調不良で降板していた渡辺美佐子さんも出演する。さらに、劇場が下北沢のザ・スズナリで、小劇場系である同劇団のホームグラウンドで上演されるということで、この劇団の真髄を確かめておきたいという思いもあった。この日は落語会とこの芝居との選択となったが、お馴染みのK先輩と相談し、満場一致でこちらへの突撃と相成った。

 

平成18年11月13日(月)、下北沢ザ・スズナリ、19時開演

劇団燐光群「チェックポイント黒点島」

作・演出:坂手洋二

配役:

ヒロコ:竹下景子

語り手、シズエ、チャーリー、ばばちゃん:渡辺美佐子

男、クニオ:大西孝洋

タドコロ、タチバナ、中年男:川中健次郎

ツヨシ、大学職員:猪熊恒和

ミドリ、中年女、ルーシー:中山マリ

アンザイ、ジャンパーの男、父:鴨川てんし

学生、黄色い女、黒い女:江口恵美

タナカ、学生、若者A、言わ猿:内海常葉

キノシタ、学生、若者B、聞か猿:小金井篤

その若者、青年、店主、見猿:久保島隆

ワタナベ、帽子の男、別な青年:裴優宇

ハヤシダ、アキ:樋尾麻衣子

コンドウ、小猿:高地寛

ジュン、店員:安仁屋美峰

ヒカル:伊勢谷能宣

学生、息子:嚴樫佑介

学生、娘:阿諏訪麻子

学生:樋口史

学生:桐畑理佳

アフタートーク:

劇作家・演出家 劇団ジャブジャブサーキット代表 はせひろいち

ザ・スズナリ 野田治彦

司会:坂手洋二

 

前回観た「民衆の敵」とはかなり趣が異なる現代劇、というか、とても難解な芝居だった。舞台には路面電車の車両のようでもあり、倉庫のようでもある四角い箱形の物体が1つだけ。はじめから終わりまで、場面は変われど舞台装置はこれだけ。この箱が家にもなり、島にもなり、検問所にもなっていく。そう、これは国境に設置されている検問所の話なのだ。「チェックポイント」とはベルリンの壁に設置されていた検問所のことらしい。検問所の向こう側とこちら側で何が違うのか?国境問題をテーマに、島国で一見、国境問題がなさそうな日本にも多くの領土問題が存在する・・・そんなメッセージを感じた。尖閣諸島問題で日中関係が緊張感を増す昨今、坂手氏のこの問題に対する考えを改めて問いたい気がする。

なお、この芝居はザ・スズナリが開場25周年期間中ということで、終演後に記念アフタートークがあった。ゲストは日替わりで、この芝居小屋の25年を振り返るという内容だった。K先輩も私もザ・スズナリが初体験だったため分からなかったのだが、現在は階段状になっている客席が昔は平らで舞台が観にくかったのだそうだ。どうやって階段状になったかというと、もちろん客席を階段状に盛り上げたわけだが、それだけではうまくいかず(後方の席が天井にぶつかってしまう)、なんと舞台の方も掘り下げたのだという。想像以上に老朽化した小屋だったが、無味乾燥な建物には感じられない独特の空気を感じた。小劇場系の関係者にはたまらない魅力に溢れた小屋なのだろうと思う。

しかし、坂手作品は難解だ・・・というのが、K先輩と私の共通の感想であった(次回は「ワールド・トレード・センター」岡山公演をアップする予定です)。 


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予告「3分間の女の一生」 [芝居]

本日、劇団燐光群「3分間の女の一生」の岡山公演観てきました。いつものように、よく分からん展開の芝居でしたが、面白かったです。感想は後日アップします。本日はこれまで・・・。


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劇団燐光群「民衆の敵」 [芝居]

今回は、私が初めて劇団燐光群の芝居を観たときのことを紹介したい。

私は全然知らなかったのだが、劇団燐光群とは岡山県出身の劇作家・坂手洋二さんが主催する小劇場系の劇団である。今まで知らなかったのは、新劇ファンの私が小劇場系の芝居にはほとんど関心がなかったというのが大きな理由である。そして、坂手洋二さんという方。現在ではわが国における劇作家の協会の会長をつとめるほどの偉い方(といっても、年齢はまだ40代と若い)だが、私はノーマークで全然知らなかった。ただ、職場のY先輩が、坂手洋二さんとは高校時代の同級生で、そういえば昔、Y先輩が「高校の同級生に岸田國士戯曲賞を受賞した凄いヤツがいる」という話を聞いた覚えがあった。

私が今回の芝居を観に行こうと思ったのは、会場が六本木の俳優座劇場であったこと、そして、その年がイプセンの没後100年ということで、イプセンの芝居を観てみたいと思っていたためであった。燐光群という劇団のことも、演出の坂手洋二さんのことも何も知らずに、たまたま観にいったのがこの芝居である。

パンフレットには「この世で一番強いのは、たった一人で立っている人間だ。平和に見えた町がいま、人々の生活を揺るがす『真実』をめぐって戦場と化す!イプセン最大の喜劇か?孤高の問題作か?124年の歳月を経て、確信のニューバージョン登場。」とある。

この世で一番強いのは、たった一人で立っている人間だ。

平成18年6月2日、俳優座劇場

劇団燐光群「民衆の敵」

原作:ヘンリック・イプセン

脚本・演出:坂手洋二

配役:

スドウトモコ(博士、温泉施設専属医):大浦みずき

スドウキヨシ(その夫):猪熊恒和

スドウフミエ(二人の娘で教師):宮島千栄

スドウエリコ(二人の娘)、五番目の町民:樋尾麻衣子

スドウテツオ(二人の息子)、二番目の紳士(エビス屋の大将):小金井篤

町長(博士の姉):中山マリ

タドコロ(町長の部下):杉山英之

オカモリジュウゾウ(キヨシの父):川中健次郎

ホリエ(『日々新聞』紙編集長):江口敦子

ババ(『日々新聞』紙記者):久保島隆

船長:裴優宇

アクツ(印刷業社長):鴨川てんし

一番目の町民:大西孝洋

二番目の町民:安仁屋美峰

三番目の町民:伊勢谷能宣

四番目の町民:工藤清美

六番目の町民、売り子1:阿諏訪麻子

七番目の町民:桐畑理佳

一番目の紳士、売り子2:樋口史

タナカ:内海常葉

酔った男:高地寛

ナレーション:渡辺美佐子

主役の博士は当初、渡辺美佐子さんが予定されていたが、体調不良のため、タカラヅカのトップだった大浦みずきさんが代役に起用されていた。背が高く、なんともカッコいい博士だった。

さて、タイトルの「民衆の敵」だが、この芝居で「敵」となるのは主役の博士である。町の温泉施設で専属医をつとめていたが、その温泉が皮工場の廃棄物によって汚染されており、人体に影響を与えることを知り、温泉の配管を工事し直すことを提案する。ところが、再工事の費用を掛けたくないと考えてその事実を隠蔽しようとする彼女の姉である町長を初め、印刷所の社長、家主組合の会長、権力におもねる人々によって攻撃される。彼女は孤立するが、家族と共に戦い、町民全体が集まる諮問会に於いて、こうした事態に対して大勢に従ってしまう人民=民衆こそが問題なのだと告げ、町から排斥される。しかし彼は毅然として自らの自説を曲げない。

印刷会社の社長役の鴨川てんしさんが抱腹絶倒のハマリ役で、最初は博士の味方につきながら、次第に大勢に迎合していく。後半の諮問会の場では、なぜかこの印刷屋の社長が「議長」なるものに指名され、諮問会は民衆による魔女狩り裁判と化してしまう・・・。

当時、私は東京勤務で、当日は一人で鑑賞していた。とても見応えがあったので同じ東京勤務であったK先輩に勧めると、後日K先輩も観に行き、燐光群という劇団はなかなか面白いということで、また観にいこうという話になる。実は、この時点でも、私はまだ、坂手洋二さんが岡山出身でY先輩の同級生の「岸田戯曲賞を受賞した凄い方」であることに気づいていない。

以下、次回に続く・・・。


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劇団民藝「十二月」 [芝居]

さて、東京出張の最終日。この日は三越劇場にて、劇団民藝の舞台の初日だった。初日の舞台というのは何度か鑑賞した経験があるが、セリフミスが出ないかとドキドキさせられる。また、初日は舞台関係者が多数客席に混じっていることが多いようだ。

小山祐士という劇作家を私は知らなかったが、1904年の生まれで、代表作に「瀬戸内海の子供ら」、「泰山木の木の下で」、「星の牧場」、「二人だけの舞踏会」などがあるという。中でも「瀬戸内海の子供ら」は第2回芥川賞に決まっていたが、半年以上前に発表されていたということで取り消しになったそうだ(「芥川賞事件」)。備後絣で有名な広島県出身とのことなので、恐らく福山市あたりの出身なのであろう。今回の「十二月」の登場人物名に鞆浦という名前があるが、これは福山市の鞆の浦(とものうら)そのものだ。今回は初演以来28年ぶりの上演で、劇団民藝60周年を記念しての上演であるという。初演舞台に出演していた梅野、日色、小杉、河野の4名は当時と同じ配役だという。また、現在の民藝におけるビッグネームな女優、すなわち、奈良岡、樫山、日色の3名の本格競演は「夏・南方のローマンス」以来23年ぶりとのこと。

 

平成22年12月3日(金)、三越劇場、18:15開演

劇団民藝公演「十二月-下宿屋『四丁目ハウス』」

作:小山佑士

演出:高橋清祐

配役:

九城間弓:梅野泰靖

扶可子:奈良岡朋子

次郎:竹内照夫

秋本道樹:小杉勇二

蓮見いけみ:河野しずか

朽木夫人:樫山文枝

鞆浦江東夫:塩田泰久

しづ:有安多佳子

初江:日色ともゑ

藤井得行:伊東理昭

 

あらすじは以下の通り。

時:昭和5、6年ごろ。秋から冬にかけて。

所:東京。帝大付近の閑静な裏町。

九城間弓は昭和の大恐慌により機械会社の要職を辞して、妻の扶可子とともに上京。本郷で学生相手の下宿屋を経営していた。ところが、エリート官僚の弟・次郎が財閥令嬢との縁談のために兄夫婦に下宿屋の廃業を迫る。そのほか、東京芸大を優秀な成績で卒業したけれども職がない道樹(扶可子の弟)や下宿屋に出入りする朽木夫人、蓮見いけみをはじめ下宿人や女中が抱える恋模様やら人間模様・・・。移りゆく季節の中に生きる人々は12月を迎えようとしていた・・・。

 

初日ということでセリフのミスが散見されたが、やはり、3大女優と梅野泰靖さんという豪華な顔ぶれに楽しむことができた。特に女中の初江(劇中では『はっちゃん』と呼ばれている)役の日色ともゑさんが、ハマリ役だった。

芝居の内容としては、特に強いイデオロギーのようなものは感じられなかったが、大学は出たけれど仕事がないという昭和の初めの世相が、現代と随分似ているということが伝わってきた。そして、いつもながら感心するのは、セリフをしゃべっていない時の役者の仕種や動きが非常に計算されていて、これが「リアリズム演劇」ということなのかと改めて感じた。

座席はかなり後方だったが、周りには劇団の役者さんたちが大勢座っていた。すぐ後ろには鈴木智さんがいて、思わずお声を掛けたところ、ニコニコ顔で返して下さった。そして鍛え抜かれたお声に惚れ惚れとしてしまった。鈴木さ~ん、青山半蔵役をまたお願いします!!


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蜷川幸雄「三文オペラ」(その5・完) [芝居]

ニナガワ「三文オペラ」の続き。

【第3幕】

ロンドンでは女王(ヴィクトリア女王?)の戴冠式が迫っており、警視総監のタイガー・ブラウンはその警備の総責任者として式の無事成功を祈っていた。戴冠式を翌日に控えた日、ブラウンの前に「乞食商会」のピーチャムが現れ、再度メッキーを逮捕しろと迫る。逮捕しないとロンドン中の乞食を総動員し、戴冠式を妨害するという。もの凄い数の乞食が動員されるため、警察がいくら取り締まっても止めることは不可能だといいブラウンを脅迫する。困ったブラウンはやむなく、親友であるメッキーの逮捕に踏み切る。翌朝、戴冠式は7時に行われる予定で、メッキーはその一時間前に処刑されることになった。絞首刑台の前に立つメッキー。いざ、刑が執行されようとしたその時、なんと、メッキーは女王による恩赦で無罪に。それどころか、貴族として処遇されることになった。「これはオペラなのですから・・・」。ありえないどんでん返しでハッピーエンド。

♪イロの道のバラード:ピーチャム夫人

♪まだ努力が足りない:ピーチャム

♪ソロモン・ソング:ジェニー

♪墓場からの呼びかけ:メッキー

♪メッキーが御許しを願うバラード/墓碑名:メッキー

♪絞首台への道/第三幕のフィナーレ(全員)

 

ピーチャムの「まだ努力が足りない」の歌は組曲版では「マック・ザ・ナイフ」 とミックスして演奏される有名な歌だ。

再逮捕され鉄格子の中にいるメッキー。あと数時間後には処刑される。そこへ天井から大きな時計が降りてきて、「あと6時間」と言うと、みるみる時計が進み、「あれ、5時間、4時間、あぁぁ・・・!」。

そして、絞首刑台の前へ立たされるメッキー。周りには出演者全員が囲んでおり、絶望的な歌が奏でられている。・・・そこへ、唐突に恩赦の知らせ。舞台上の全員による歓喜の歌でハッピーエンドとなった。

長いカーテンコールが終わり、幕が下りたあとも、宮川彬良さんが引き振りをしてる楽団はずっと三文オペラの有名なナンバーを演奏しつづけていた。なんともサービス精神に溢れた楽しい舞台だった。

以来、嫁さんは、「三文オペラ」のファンになったようで、また行きたいと言っている。(完)


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蜷川幸雄「三文オペラ」(その4) [芝居]

「三文オペラ」の続き。

この芝居は全3幕で、幕間ごと休憩が入った。今回は第2幕。

 

【第2幕】

ピーチャムの企てを察知したメッキーは逃亡すると言い残してポリーと別れる。しかし、毎週木曜日になると、なじみの娼婦の館へ姿を現していた。娼婦の館へ先回りしたピーチャム夫人は、メッキーの古くからの娼婦・ジェニーを買収。何も知らないメッキーはいつものようにジェニーと「情夫(ヒモ)のバラード」を歌う。しかし、ジェニーの裏切りでメッキーは監獄行きとなる。メーッキーは監獄の中でシャバにいた時の暮らしを懐かしむ「優雅な生活のバラード」を歌う。そこへ警視総監・ブラウンの一人娘でメッキーの恋人の一人だったルーシーがやってくる。ところがそこへポリーもやってきて2人は大げんかに。「彼は私を愛しているのよ」、「あなたのどこがいいのかしら」と、ルーシーとポリーの二重唱「嫉妬のバラード」へ。結局、ルーシーの手引きでメッキーは脱獄に成功する。第2幕の終わりは出演者全員による合唱「人は何によって生きるか?」で幕となった。

♪メロドラム(メッキー、ポリー)

♪ポリーの歌(ポリー)

♪イロの道のバラード( ピーチャム夫人)

♪海賊ジェニー(ジェニー)

♪情夫(ヒモ)のバラード(メッキー、ジェニー)

♪優雅な生活のバラード(メッキー)

♪嫉妬のバラード(ポリー、ルーシー)

♪人は何によって生きるか?/第二幕の三文フィナーレ(メッキー、ジェニーの独唱ほか全員で合唱)

 

ジェニーが歌った「海賊ジェニー」。第1幕ではポリーが歌ったこの歌はジェニーの持ち歌なのだった。ポリーは娘らしい細い透き通った声で歌うが、ジェニーは太く低い声で歌う。その対比が一つの見せ所だ。

そしてメッキーとジェニーによる「情夫のバラード」。いかにも妖しい雰囲気の名曲だ。ダンスをしながらたっぷりと歌われ、キム・ヨンジャは貫禄充分だった。

監獄にぶち込まれたメッキーが歌う「優雅な生活のバラード」もとても有名な曲だ。とても歌いにくい曲だと思うが、メッキーの鹿賀丈史はソツなくこなしていった。

そしてルーシー唯一の見せ場である「嫉妬のバラード」。ポリーとの二重唱は罵りあいながらの掛け合いが見せ所だ。「なんですってー」(ドスン!)というように足で床をたたく(これが曲の合いの手だったりする)。ポリーに対してルーシーはもっと図太い感じの役者を起用した方がピッタリきたような印象。森川美穂のルーシーはポリーの茂森あゆみと近く、対比の面白さが今ひとつのように感じた。

第2幕のフィナーレ「人は何によって生きるか?」は素晴らしかった。曲には1番と2番があり、1番の冒頭をメッキーが、2番をジェニーが歌い、後半が全員による合唱となる。手元に歌詞がないので内容を紹介できないのだが、ここはこの作品におけるブレヒトのメッセージが歌われていると考えてよい。舞台の役者のそれぞれが、衣装はそれぞれのものを身にまとってはいたが、顔は真顔になって役を離れた1人の人間として立っていたように思われた。

(以下、つづく)

 


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