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「真景累ヶ淵」登場人物とあらすじ(その7) [落語]

7.お累の死

登場人物:

深見新吉(深見新左衛門の次男)

お累(新吉の妻)

与之助(新吉とお累の子)

三蔵(お累の兄で羽生村の質屋の主)

和尚(法蔵寺の住職)

惣右衛門(羽生村の名主)

お賤(惣右衛門の妾)

作蔵(馬方)

与助(羽生屋の奉公人)

男(村人)

あらすじ:

新吉が戻るとお累は産気づく。産まれたのは玉のような男の児・・・、ではなく、小児の癖に鼻がいやにツンと高く、目は細いくせにいやにこう大きな目で、頬肉が落ちて痩せ衰えた骨と皮ばかりの男の児。帰りの道中で夢に見た兄新五郎の顔に生き写しで、新吉はぞっと身の毛立った。新吉は気が滅入り、食も進まない。

心配した三蔵は、姑と一緒にいるのは気詰まりだろうからと、羽生村の北坂という処に一軒家を建て、新吉一家をそこに住まわせてくれた。生活費は三蔵方で過不足なく仕送ってくれるので、稼ぎのない新吉はぶらぶらしている。

翌年、寛政8年の2月3日、新吉が法蔵寺へ参詣に行くと、和尚がつくづく新吉の顔をみて、「お前は死霊の祟りのある人で、病気は癒らぬ。・・・無縁の墓の掃除をして水を上げ、香花を手向けるのは大変な功徳になる」というので、新吉は法蔵寺に通ってこれを続けることに。3月27日、新吉が例の通り墓参りに出掛けると、御年21、2という婦人が馬方の作蔵と一緒に這ってきた。婦人の名はお賤と言い、羽生村の名主・惣右衛門の妾だった。累(かさね)の墓に願掛けに参っていたところ、新吉と出会う。お賤は江戸の出身で、貸本屋時代の新吉に見覚えがあるという。新吉もお賤のことを覚えていて、久しぶりの再会に、以来、お賤のところへ出入りするようになった。お賤の家で名主・惣右衛門とも懇意になり、小遣いやら、帯やらをもらうなどの世話になった。

お賤は調子がよし、酒が出ると一中節(いっちゅうぶし)でもやるから、新吉はなお近しく通う。この様子に村の者も次第に勘づくように・・・。これに心配した三蔵だったが、名主様が関わっており、知れてはならないということで、お累に意見を言わせることに。しかし、新吉は腹を立て、お累を打ち打擲するように。人の善いお累は段々と病気になり、癪ということを覚えて、只おろおろ泣いてばかりに。

稼ぎのない新吉は家のものを洗いざらい持ち出しては質に置き、お累の体調が悪くても、赤ん坊の虫が発(おこ)っても薬一服飲ませる料簡もない不人情ぶりに、三蔵は「金を遣るから手を切ってしまえ」と提案。しかし、お累は「たとえ親や兄弟に見捨てられても夫に附くのが女の道・・・」と言い切るので、「そうなれば兄妹の縁を切る」と30両の金をお累に渡す。

一方の新吉は、その金をもって遊び三昧。只、不憫なのはお累。赤ん坊にはピイピイ泣き立てられ、糸のように痩せても、薬一服飲ませてもらえない。三蔵の縁が切れているので、村の者も見舞いに来なかった。

ある日、三蔵は奉公人の与助を連れて、新吉の留守を狙ってお累の様子をうかがいに来たところ、日暮れ方の薄暗い部屋の中に、煎餅のような薄い布団を一枚敷いて、その上へ赤ん坊を抱いてお累が寝ていた。蚊が多いにもかかわらず、蚊帳はなし、蚊燻しもなし。蚊帳を釣ってやるからどこにあるかと三蔵がたずねると、蚊帳はおろか、あらゆる物は新吉が持ち出して質に入れてしまったという。三蔵は急いで与助に蚊帳を取りに帰らせ、ぼろぼろの行燈を探し出し、灯りをつけたが、今にも死のうかというほど痩せ衰えたお累の姿をみて愕然とする。お累は利かない体を起こし、兄に逆らった不孝を詫びた。ただ、今、新吉と別れると、男の子は男に付くものだから、与之助は置いて行けと新吉が言うのだという。赤ん坊を見殺しにはできないので、せめて、この子が4、5歳になるまではこのままにして欲しいという。「それではお累の体が持つまいに」と三蔵は新吉を憎んだ。与助が持ってきた蚊帳を釣って、持ち合わせの3両を小遣いに置いて、三蔵と与助は帰っていった。

入れ違いに新吉が作蔵を連れて帰ってきた。一文無しで、遊ぶ金がないため、仕方なく戻ってきたのだ。すると、家の中に立派な蚊帳が釣ってある。これを質に持って行けば2~3両にはなるだろうと、取り外しにかかる新吉。目が覚めたお累が、赤ん坊のためにこの蚊帳だけは持って行かないようにと懇願するが、新吉は聞く耳を持たない。三蔵が置いていった3両があるので、これをお持ちくださいと言うと、新吉は3両を手にした上に、それだけでは足りないと、蚊帳も持って行こうとする。お累が蚊帳にすがりつくのを力づくで引っ張ったので、お累の生爪がはがれて蚊帳に突き刺さっていた。蚊帳を肩に掛けて出て行く新吉を追って、お累が出口へ這い出して「新吉さん」というと、

新吉「何をいやァがる」

とツカツカと立ち戻ってきて、脇に掛かってあった薬缶の煮え湯をかけたものだから、与之助の顔へかかり、赤ん坊は絶命。持っていた薬缶を投げつけると、お累は頭から沸湯を浴びせられてしまった。

蚊帳を金にした新吉は作蔵と二人でお賤の宅へしけ込み、こっそり酒盛りをしていた。生爪の一件やら、赤ん坊のことで、当然とはいえ盛り上がらない。作蔵は寝てしまい、続いてお賤も眠りについた。外では雨がどうどうと車軸を流すように降ってきた。かれこれ八ツ時という時刻に、表の戸をトントンたたく音。お賤を起こし、戸を開けると、そこにはびしょ濡れのお累が立っており、手には赤ん坊を抱いていた。

お累「この坊やアだけは今晩夜が明けないうち法蔵寺へでも願って埋葬(ともらい)を致したいと存じます。・・・お賤さん、私が申しますと宅(やど)が立腹致しますから、どうかあなたから、今夜だけ帰って子供の始末を付けてやれと仰って」

お賤が新吉に帰るように促すと、新吉は怒り出し、利かない体のお累お胸ぐらを突き飛ばした。泥だらけになり這い上がるところをまた突き飛ばし、ピタリと戸を閉めてしまったから、表ではお累がワッと泣き倒れた。

その晩、新吉は寝付かれないでいたところ、突然、作蔵がうなされ出した。夢でもみているのかと、

新吉「胆を潰さァ、冗談じゃァねえ寝惚けるな・・」

作蔵「寝惚けたのじゃァねえよ。・・・あそこに寝ているとお前、裏の方の竹をぶっつけた窓がある。あすこのお前雨戸を明けて、どうして這入ったかと見ると、お累さんが赤ん坊を抱いて、ずぶ濡れで、痩せた手を己の胸の上へ載せて、よう新吉さんを帰しておくんなさいよといって、己が胸を押圧(おっぺしょ)れる時の、怖えの怖くねえの・・」

新吉「夢をみたのだ」

作蔵「夢でねえよ、あすこのところに・・・」

と指さした場所から男の声。

男「新吉さんはこちらにお出でなさいますか。お累さんが飛んだことになりましたから、方々探していたんだ、直に帰って下せえ」

致し方なく夜明け方に帰ってみると、お累は草刈鎌で喉笛を掻切って、片手に子供を抱いたなり死んでいた。

以下、その8へ続く・・・


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