So-net無料ブログ作成
検索選択

柳家喬太郎-こども寄席 [落語]

小学生以下の子供を対象にした落語会を最近よく見かける。小学校では「学校寄席」というものが盛んに開催されているらしく、東京の噺家さんは全国を飛び回って「学校寄席」で落語を口演しているらしい。

将来の寄席演芸ファンを開拓するために、子供向けの落語会はとても良いことだと思う。しかし、である。落語は子供にはなかなか難しいところがある。数ある演芸の中でも落語はどちらかといえば地味な演芸だと思う。だから子供が途中で退屈をしてしまう可能性がある。まあ、落語にも色々なものがあり、子供に充分に可笑しさがわかる噺を選んで聴かせればよいのかもしれない。

さて、ここで問題です。小学生低学年の子供向けに適当な落語を列挙してみてください。

これは意外に難しい問題なのではないかと思う。落語を落とし噺と人情噺に2分するなら、人情噺はまず、子供向け落語からは外れると思う。また、落とし噺でも長い噺は子供の集中力が続かないだろうからこれも外れる。

考えられるのは同じ年頃の子供が登場する噺だ。金坊ものである。金坊といえば、「初天神」、「真田小僧」だが、「真田小僧」は教育上ボツとなりそう。「初天神」も教育上は「?」がつくが、こちらはまあ許容範囲だと思う。「初天神」は寄席での口演回数も多く、多くの落語ファンに愛され、なにより良くできた噺である。大人になれば、落語を聴かないという人でも、「初天神」という落語のあらすじくらいは誰でも知っている。そういう名作を、子どもたちの前で演じれば、「落語って面白い」という第一印象をもってもらうことができるだろう。

では、「子ほめ」はどうだろう。恐らく、寄席で最も口演回数が多いこの噺は、多くの落語ファンに愛され、良くできた噺であるなど「初天神」とそっくりだ。聞くところによると、小学校の国語の教科書に「子ほめ」が載っているそうだ。しかし私は、この噺は小学校低学年には難しい噺なのではないかと思っている。「初天神」は主役が金坊であり、子供目線で噺に入っ行けるのに対し、「子ほめ」は子供は出てくるものの、生まれたばかりの赤ん坊。こちらは完全に大人目線の噺だと思うのである。そして、この「子ほめ」は時間が意外に長い。長いと言っても12~3分くらいのものかもしれないが、感情移入できない噺に小学校低学年の子供が辛抱強く聴いていられるかと言う点で「初天神」に劣るように思う。

さて今回は、初めて愛娘を生の落語会に連れて行ったときのことを紹介したい。人気の柳家喬太郎師匠の「こども寄席」だったら、大人だって聴いてみたい。対象は小学生だったと記憶しているが、当時まだ4才の娘を連れて一家3人で出かけた。4才の子供に落語は無謀だったのだが、事前にホールの担当者の方に電話で問い合わせたところ、「どうぞどうぞ」と快くOKして下さったのでお言葉に甘えることにした。また、娘は当時、すでに「初天神」の団子屋の場面をソラで言えるようになっていた(夜、布団の中で、絵本を読む代わりに私は落語をしゃべっていたので覚えてしまったらしい)。なので、大丈夫だろうと。そして、かなりの確率で「初天神」が口演されると踏んでいた。ところが・・・。

 

平成18年2月19日、なかの芸術小劇場

「こども寄席」

前説 柳家喬太郎

落語 柳家喬之助「子ほめ」

落語 柳家喬太郎「初天神」

お仲入り

曲ごま 三増れ紋

落語 柳家喬太郎「母恋いくらげ」

 

「こども寄席」は初めてだったが、親が同伴しているため「親子寄席」という雰囲気だった。見渡すと未就学児童はウチの娘だけという感じだった。

まず、最初に喬太郎師匠が登場し、落語についての説明を行った。落語ファンにはお馴染みの内容でも、初めて落語を聴きに来た小学生にはなかなかレベルの高い内容だったと記憶している。ウチの娘も喬太郎師匠の説明を聴いていたが、だんだん退屈していくのが伝わってきた。「ヤバイ」。

続いて喬太郎師匠の弟・弟子の喬之助さんが登場し、落語を開始。「子ほめ」だった。「ヤバイ」。しかし、娘はなんとか頑張って大人しく聴いていてくれたので「ホッ・・・」。

続いて喬太郎師匠が登場し「初天神」。「よし、これで大丈夫!」。娘は知っている内容だったこともあり、楽しめたようだ。ただ、1つ残念なことが・・・。それは、楽しみにしていた団子屋のシーンの手前で喬太郎師匠は噺を下げてしまった。

休憩後、登場したのは曲ごま。茶髪でスリムで少し不良っぽいお姉さんだった。技はスリル満点で、危なっかしかったが、度胸と元気でグイグイ進めていった。娘は大喜びだった。

トリは再び喬太郎師匠で自作の「母恋いくらげ」。子供のくらげが母親とはぐれ、遠足の小学生たちに危ない目にあわされながらも助かり、母親の元に戻ってくるという内容。途中、海の中の生き物が登場し、「イカですぅ~」、「タコですぅ~」、「カレイですぅ~」、「ヒラメですぅ~」と形態模写をする場面が可笑しい。また、遠足の小学生たちのこまっちゃくれ方といい、引率の先生のいい加減さ等がいかにも喬太郎師匠の落語という感じで可笑しい。この噺は「こども寄席」にピッタリだと思った。

ところが、ウチの娘は曲ごまが終わったところでガマンが限界にきてしまい、「らくごつまんな~い、らくごきらい!」といってグズリ出してしまった。前列近くに陣取っていたため、喬太郎師匠にもモロに聞こえてしまった。仕方がないので、娘を廊下に連れ出した。通路の階段を上りながら、娘はまだグズっている。場内の観客の視線を感じながら、申し訳ないやら、恥ずかしいやらで、穴があったら入りたい、本当にそんな気分だった。その私たちに、高座の喬太郎師匠は実に温かい対応をしてくれた。

喬太郎:「今出ていかれたのは、本当にご両親だったんでしょうかね?」。

場内:大爆笑。

絶妙のタイミングだった。北朝鮮による拉致ではないかというわけだ。場内の雰囲気を一気にほぐすと同時に、私たちの失態を笑いで救ってくれた。本当に、どれだけ救われる思いがしたことだろう・・・。喬太郎師匠、あの時は本当に申し訳ありませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます・・・。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:お笑い

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。